陽だまり
先週、習い事をしているお仲間の一人Mさんに、帰り際、呼び止められた。「あのね、家の事情があって今週いっぱいで辞めることになったの・・」そう聞いて私はとても残念な気持ちになった。Mさんは私よりも一回り年配の方だけれど、何人かで食事をすれば私のような若輩者にも気を配って話を振ってくださるし、常に柔らかな雰囲気をもった上品な方で、「ああ、こんな奥さまになりたいなー」と思っていたのだ。
でも、残念と同時に、ちょっと心配にもなった。Mさんは別にリーダーシップのあるタイプではない。でも、そこにいてくださるだけで、皆がとてもほっとする。やさしい陽だまりがそこにあるようで、何かあって険悪な雰囲気になりかかっていても、彼女がほほ笑んでいると場が和やかになるのが分かるのだ。
どうしようもない出来事があったときの諦め言葉に「ま、色々な人がいるよね」というのがあるけど、私のように出会う人の多くが同じカテゴリーの専業主婦という環境であってさえ、やっぱり色んな人がいるもんだと思うことが度々ある。「どうしていつも誰かとけんかしてなくちゃ気が済まないんだろう」という人や、「この人は人を不快にさせる天才だなあ」と思わされる人など。たぶん、本人が一番楽しく思えない日常なのかもしれないけど。私なんてそういう人に遭遇すると「ここは避けとこ」と思ってしまうけど、Mさんはそういう人がいても、そこに生えている棘を払い落してしまうところがある。
そういえば、今年の春、Mさんとの間で私の父の話になり、つい病気の件をもらしたことがあった。Mさんは話を聞くなり私の眼を見つめ、「何と言ったらよいのか・・」とつぶやくとみるみるその眼に涙を浮かべた。本当に、心底優しい人なのだ。
そんなMさんがいなくなってしまったら、総勢20名ほどの、いろんな人がいるこのグループは、一体どうなっちゃうんだろう。そう思って不安になった。 果たして今週。危惧した通りになった。「私も辞めようかな・・」という人、続出。皆が皆ちょっとずつため込んでいた違和感とか不満とかがいっきに出てきてしまったようだった。Mさんという陽だまりが消えて、明るくあたたかく見えていたものの色が冷めてしまったのかもしれない。
まあ、女の人の集まりっていうのは、どうしても他人につられやすいところがあるし、習い事なんかもそれそのものへの興味よりは仲間がいるからこそ続けられる面があるのだけど、やはり、Mさんの存在の重さを思う。
人って努力し続けたり成功したりするのも大変だけれど、陽だまりになるのも負けず劣らず難しいのかもしれない。私の場合、今まで歩いてきた道筋を思い浮かべると、一朝一夕にはなれそうもない。ならば、せめて。何かにむっとしたとき、Mさんの笑顔を思い出そう、そんな風に思ったのだった。
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コメント
こんにちは
陽だまり、でなく吹き溜まりのpoohpapaです^_^;
ここんとこ、心の中を木枯らしが吹き荒れていて、陽だまりが恋しくなっています。
そういう人、いなくなって初めて存在の大きさが判るんですよね。いてくれるだけで安心できるような人は貴重ですね。私も、そうなりたいものです。
投稿: poohpapa | 2008/11/08 15:24
>私のように出会う人の多くが同じカテゴリーの専業主婦という環境
そうですね。独身というのならわかるけど、シングルで子育てしているならわかるけど、外国から来て言葉が通じないならわかるけれど、障害があるというのならわかるけど、同じなのにどうしてと思うことは多いです。
でも、同じように見えるけれどやっぱり人それぞれなのではないでしょうか。自分はまだ知らない、自分には理解できない、その人なりの深い理由があるのかもしれません。普通に暮らし普通に人とお付き合いできるのはとても素晴らしいことです。
自分の事情を抑えてそう行動していたであろうKakoさんの実情を知ってMさんは涙してくださったのだと思います。そう出来ない人をたくさん知っていらっしゃるから。そうしてそう出来ないのが普通なのだと判っていらっしゃるのだと思います。優しいいう字が、それは人の憂いがわかる事だと中国4000年の歴史が教えます。
優しい人になりたいなと、せめて人を非難することはしたくないなと思ってはいるけれど、これがなかなか難しい自分の毎日です。
投稿: 惑 | 2008/11/09 09:53
poohpapaさん、おはようございます。
。
私もそうありたいとは思いながら、とっても難しいです。まあ、せめて誰かにとっての木枯らしにならぬように気をつけたいところですが・・。自信がなかったり
そうそう、お加減にはお気を付けください。
投稿: Kako | 2008/11/09 11:15
惑さん、おはようございます。
そうなんですよね。たとえ肩書きが同じだとしても、人の数だけ人生があるということでしょう。これまでの過ごし方があらわれるのだと思えば、私自身もっと振り返ってみるべきなのでしょうが・・
うーん、やっぱり難しいですね・・・。
投稿: Kako | 2008/11/09 11:20