卒業
先日、我が家の娘が無事に小学校を卒業した。小学校という6年間は長い。心も、身体も、劇的に変わっていく。それだけに「あの小さかった子が、こんなに大きくなって・・」という親の感慨も大きい。卒業式の保護者控え室で顔をそろえた卒業生の親たちは、皆始めからいつもよりも緊張気味で、顔つきも変わっていた。
一人ひとりに卒業証書が渡されてなごやかに式は進んでいく。校長先生の前に進み出る前に一旦舞台の端にこちらを向いて立ってくれるので、子供たちそれぞれの表情がよく分かる。甲高い声で先生にちゃちゃを入れていた男の子が、すっかり声変わりしていたりすると、「ああ、あっという間に時間が過ぎたんだな」と思ってしまう。
そして、校長先生のお言葉。来賓の方々からの祝辞。卒業生たちの呼びかけと続く。 卒業式の「呼びかけ」というのは、今の東京では当たり前なのだろうか。私は三つの小学校の卒業式を見ているが、一箇所でしか記憶にない。それも在校生によるものだった。「練習大変なんだよー」と娘がぼやいていたのを聞き流していたが、実際耳にするとたしかに大作だった。
「呼びかけ」では、自分たちの6年間を振り返る。「1年生。お父さん、お母さんに手を引かれて入学式」と声を揃えた後、懐かしい音声が流れる。実際に入学式の日に当時の校長先生が新入生へ向かって語りかけてくれた言葉だ。「諸君は今日からこの学校の子です」ランドセルが歩いているようなちっちゃな子供たちに「諸君」と呼びかける濃いキャラクターの校長先生に度肝を抜かれたのを思い出す。
そして、三人の担任の先生方それぞれの言葉。「先生はー、今日のようなお日様がー、大好きですー。皆さんはどうですかー?」あの日のことがはっきりと甦る。ここで、皆さん、滝のような涙、涙。ビデオカメラを向けているお父様まで目をごしごしとこすっている。その後も各学年ごとの思い出の行事、その時の音声。歌。等々の振り返り。子供たちの声も震えていく。とにかく泣かせる演出一杯で、どの顔もくしゃくしゃだ。娘によれば、「だってみんな泣いちゃうんだもん。自分の声が目立って恥ずかしかった」のだそうだ。
卒業式が終わっても、教室での先生とのお別れ、学校で受け継がれている伝統の儀式、と続いていく。泣き顔だった皆の顔も、晴れ渡った青空の下で輝いていく。娘を含め、誰もが友達や先生との写真撮影に忙しい。はしゃいでいる姿がまぶしい。
今の東京では小学校卒業後の進路がばらばらで、娘の学校では特に「子供同士で進路の話をしないように」というお達しまであって、お互いどこに進学するのか分からないことも少なくない。毎日当たり前に顔を合わせていた仲間と、もしかしたら二度と会えないかもしれないことなど、12歳の子供たちにはよく分かっていないのかもしれない。
ああ、終わったんだな。私は感激よりも安堵感の方が強かった。うれしいことも、悲しいことも色々あったけど、なんとか無事にここまで来た。「良かったねー。卒業できて」と娘に笑いながら言うと、「出来るよ! 卒業するのは!」と怒っていた。でも、その当然のことがとてもありがたいのだということを、娘もよく分かっているようだった。
クローゼットの中には、真新しい中学校の制服が下がっている。寂しいけど、それでもやっぱりうれしい、我が家の春である。
| 固定リンク


コメント
お嬢様の小学校卒業おめでとうございます。全員が同じ公立中学に進学という田舎でのもう40年近く昔の卒業式は中学校の制服を着ました。卒業式という腫れの舞台、貧富の差の出ないようにと配慮された物だったのかも知れません。その衣装は3年間着れるようにとやや大きめで、それでも自分達も親たちも、あぁ4月からは中学生になるんだと思いはそちらに向いていたような気がします。
去年の春から我が家は子供は家にもいないし、親の扶養からも外れました。まだまだそこまで先は長いですよ。頑張ってくださいね。
投稿: 惑 | 2008/03/27 01:04
娘ちゃんのご卒業おめでとうございます。
うちの娘1も受験生です。
子どもって不思議な存在ですね。
自分を主張するけれど、全身で親を求めてくる。
毎日戦いだけど、過ぎた日々は甘い香りがします。
新しい春が、素敵なものになりますように。
投稿: 三日月男 | 2008/03/27 18:55
惑さん、こんばんは。
私も地方の小学生でしたから、やはり卒業式は進学する中学校の制服でした。ほぼ同じメンバーでの進学で、特別な感慨などなかった気がします。あ、でも、背格好の同じ男の子と、制服を交換して着てみた覚えがあります。彼のセーラー、私の詰襟、どちらも結構似合っていました(笑)
小学校の卒業・・確かに先はまだまだ長いのかもしれません。これからが難しい年頃ですし。ただ、私の両親をみていると、子供はいつまでも子供で、「もう安心」とはなかなか思えないのかななどとも思います。
投稿: Kako | 2008/03/27 21:07
三日月男さん(うーん、私にとってはやはりtsuyorinさんかな)、こんばんは。
>自分を主張するけれど、全身で親を求めてくる。
まさにその通りですよね。子供たちも自分の気持ちを持て余しているようなところがありますし。
うちの娘はまだまだ子供っぽいのですが、これから急速に変わっていくのだろうなという気配はあります。どこまで手をさしのべ、どこから見守るべきか、これからますます悩むことになるでしょう。
とにかく早くぴゅーっと通り過ぎたい気持ちと、一日一日をいとおしむような気持ちと、両方を感じています。
投稿: Kako | 2008/03/27 21:12
ご無沙汰です。我が家の上の娘の一つ下でしたか…。何となく近い年齢とだけの認識で…
ご卒業、そしてご入学(これから)おめでとうございます。こちらの地区(足立区)も中学は選択制、私立進学者も多くいわゆる地元校への進学者半数に満たない現状があります。4月から下の子は5年生に、来年末あたりにはまたあたふたしてそうです。
投稿: HAYAMA | 2008/03/31 17:16
HAYAMAさん、こんにちは。
今の子供たちは私たちのときほど単純ではありませんからねえ。小学校の卒業についても感じることは違うのだろうと思います。世の中には様々な考え方があるのだと、家庭により皆違うのだと、認識したようです。
まあ、何はともあれ、新しい生活が好スタートとなるよう、祈るばかりです。
投稿: Kako | 2008/04/01 17:33