Stand By Me
今週、東京FMは「夏の詩(うた)を聞かせて」という特集を組んでいた。夏に聞きたい曲をリクエストする番組もあり、その中でBen E. kingの「Stand By Me」が流れた。同名の映画はかなりヒットしたし、テレビでも何度か放映されたのでご存知の方も多いと思う。DJはやはりこの映画とからめて夏の印象が強い曲だと言っていたが、私もこの歌を聞くとあの映画を思い出さずにはいられない。忘れられない作品だ。
「Stand By Me」は1987年日本公開で、少年4人がある目的のためにちょっとした旅をするロードムービーなのだが、少年たちはそれぞれに悩みを抱えていて、その危うさや純粋さが切ない。特に不良の兄を持ち、それゆえに自分も偏見を持たれるクリスの役を好演したリバーフェニックスは、この映画を機に世に出たといっていい。凛とした眼差しや寂しげで繊細な雰囲気は私も強く印象に残り、熱烈なファンというのとはちょっと違うけれど、「どう成長していくか楽しみだなあ」と結局その後もいくつかの主演映画を観に足を運ぶことになった。
1988年日本公開の「ジミー・さよならのキスもしてくれない」ははっきり言って期待はずれだった。所謂青春映画だが出来の悪いアイドル映画といった雰囲気で、リバーのよさがちっとも活かしきれていなかった。が、同年公開の「旅立ちの時」では、同じ青春ものでも親からの自立の苦悩(それは親と二度と会えなくなるかもしれないことを意味する)が丁寧に描かれていて良かった。やっぱりリバーは悩んでいるときの顔がよろしい。この作品で彼はアカデミー助演男優賞にノミネートされている。
そして、1991年日本公開の「マイ・プライベート・アイダホ」。当時親友だった人気の若手俳優との共演で「アイドル映画」と揶揄されたりもしたらしいが、ホモセクシャルや近親相姦などをバックグラウンドに「家」をテーマにした社会派的な面もある作品で、リバーはヴェネチア国際映画祭で主演男優賞を獲得した。彼が父からも母からも捨てられた男娼の役だったから衝撃的だったし、全編に流れるやるせなさや救いようの無さが本来私の好みではないのだけれど、彼の役へののめりこみ方が怖いくらいなのが印象的だった。
私にとってはこの「マイ・プライベート・アイダホ」がリバーの最後の作品という思いが強い。それはこの作品が日本で公開された彼の最後の主演作品であるとともに、1993年、彼がこの作品をきっかけに知ったコカイン・ヘロインの過剰摂取でこの世を去ったからだ。ジョニー・デップの店先。まだ23歳の若さだった。私は彼が両親の宗教的な背景からかなり厳格なベジタリアンだったことを知っていたから、その彼がそんなものに手を出していたなんてにわかには信じられなかった。が、あの作品の中の彼を思うとどこか納得する部分がないとは言えなかった。
ちなみに、彼と共演した親友とはキアヌ・リーブスである。その後の活躍は皆さんご存知の通りだ。キアヌはリバーが思いを寄せる男娼仲間を演じていたのだが、市長の父親に反発して家を出ていたキアヌは、リバーとの旅の中で少女と恋に落ち、父の後を継ぐことを決意して少女を伴い帰宅する。高級スーツに身を包み権力者になっていくキアヌと、帰る家もないままストリートボーイの生活に戻っていくリバー。その後の現実の彼らを暗示しているようで悲しい。だから、私は今でもキアヌ・リーブスを見かけるたび切ない気持ちになってしまう。
「Stand By Me」では、終盤で主人公の少年が成長した場面になる。この物語は、その男性が少年時代を懐古して書いた小説なのだ。最後、あの正義感が強くてそれでいて傷つきやすかったリバー演じるクリスのその後が語られる。私は何度この映画を観てもここでいつも涙が止まらない。
「Stand By Me」。この曲が流れるとき、私はこれからも切ない気持ちになり続けるのだと思う。それは、過ぎ去ったものはもう元には戻らないというやるせなさと共に。
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コメント
こんにちは
私と私の長男では二回り(24年)も歳が違いますが、この曲だけは二人して大好きです。郷愁を帯びていて、いつ聴いても青春時代の懐かしさや望郷の念が蘇ります。
今晩、帰宅したら聴こうかな(^^ゞ
投稿 poohpapa | 2007/08/25 14:40
Poohpapaさん、こんばんは。
私の場合、あまりに映画の印象が強すぎて、曲と映画とを切り離して考えることが出来ません。曲単独でも、充分に切なさや懐かしさといったものを伝えてくれるのでしょうけれど・・。
ただ、実は私、間奏のストリングスの旋律が一番好きだったりします。Ben E. Kingには申し訳ないのですけどね。
投稿 Kako | 2007/08/27 21:12