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親離れ

4月というのは街全体が華やいでいる気がする。誰もがそわそわとして、一生懸命に見える。実際、新しい生活を始めた人は多いだろう。真新しい制服に身を包んだ学生が、スーツ姿の母親に連れられているのを沢山見かけた。

先日、人と待ち合わせした駅にもそういう親子が何組か居た。定期券売り場の長い列の中である。列の横には長テーブルが置かれていて、その上には束になった定期券申込用紙があった。列に並んでいた親子のうちの一人の母親が、列から抜けてその申込用紙に記入をし始めた。「**ちゃんは並んでいてね」と甘い声で息子に言い置いて。

息子は新高校生だろうか。ひょろっと見上げるほど背が高いが、まだあどけない顔をしていた。母親にとってはまだまだ可愛いぼくちゃんなのかもしれない。いそいそとした雰囲気から「私が記入してあげなくちゃね!」という気が満々なのがよく分かった。

でも、それにしても、混んでいた。なかなか列は前に進まない。その多さに対応しようというのだろう。駅員が出てきて、整理を始めた。普段なら一般の定期にしか対応していない自動定期発券機を、駅員が横でチェックすることで学割定期にも使用してしまおうというのである。

列に残されていた息子がこれに気付いた。駅員に質問をし、自分も対応してもらえると知って申込書に記入中の母を呼び止めた。母親は困惑している。が、息子はそれには構わず母親を引き連れて自動発券機に並び、そして駅員とのやりとりを始めた。息子は、てきぱきと駅員の質問に答え、必要事項を自分で入力する。機械相手に気後れしている母親に、「端数の30円、ある?」と息子は聞き、母親ははっとして慌てて財布を開けた。

そうして、無事、定期券を手に入れたようだ。息子は定期を手にし、券売機の前から立ち去った。母親が後に続いた。遅れまいと早足になっていた。あの息子はもう母親に定期を買うのを手伝ってもらうことはないだろう。母親は息子の背中を追いながら、寂しいのだろうか。うれしいのだろうか。

ただし、息子君。君がお母さんから少しずつ親離れしているのは分かったけど、あれももう辞めた方がいいと思うなあ。人前でお母さんに呼びかけるときに「ママ、ママ!」と言うのは、ね。

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コメント

なるほどなるほどとうなずきながら(そしてちょっぴり母親に同情しながら)読んできましたが、最後に笑ってしまいました。

強烈なオチになってしまいましたね。

投稿: | 2007/04/10 19:04

涼さん、こんばんは。

その親子を見ていたら、子離れ・親離れというのは急にするものではなくて、ゆらりゆらりと行きつ戻りつしながらなんだなあと思ってしまいました。

我が家も、少しずつ、行きつ戻りつしている最中です。

投稿: Kako | 2007/04/11 22:40

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