蹴球
私がオランダに住んでいたとき、3時ごろからものすごい渋滞になったことがあった。都心部や幹線道路だけではない。郊外の住宅街へ抜ける道までロッテルダム市内のありとあらゆるところに車があふれ、少しも進まず、収集のつかない状態なのだ。
オランダはもともと周辺の国から見ると渋滞が多いらしい。運河を行く船のために橋が跳ね上がる跳ね橋は絵にするのにはとても素敵だが、その間通行止めになるのだからたまったものじゃない。それが高速道路も例外じゃないのだから驚く。また特殊な交通ルールのせいも大きい。直進する車よりも横から曲がってきた車の方が優先されるという摩訶不思議なルールがあるのだ。でも、これで秩序が保たれるのには「交通量が少ない」という条件が必要になる。だから、車の量が一定を越えたとき、街中はパニック状態になってしまう。この日の渋滞がそうだった。
最初、何故こんなことになったのか見当がつかなかった。でも、夫が仕事場から地下鉄で帰ってき、ようやくわけが分かった。フェイエノールトの本拠地、ロッテルダムスタジアムで、何やら大きなサッカーの試合が行われようとしていたのだった。
私は例によってスポーツには疎いから、その試合がどれだけの価値のあるものなのかはよく分からない。それでも多くの人達が、スタジアムには行くことが出来なくても仕事を早退し(あるいは職場そのものが早じまい)、家族とともにテレビ観戦しようというのだから、その熱狂ぶりは充分伝わってくる。あの渋滞の様子から想像すると、そこまで熱心なのが少数派ではないということだろう。
こういう(マスコミが盛り上げるのではなく)国をあげての熱狂さが、オランダ勢の強さを作るのかもしれない。早々にオランダチームがワールドカップ決勝進出を決めたというニュースを見ながら、私はそんなことを思い出していた。
一方、今度日本と対戦するブラジル。こちらも言わずと知れたサッカー王国。ここを相手に2点差で勝たないと日本チームの先行きは暗いらしい(・・とマスコミが言っている)。
私にはブラジル人の親しい友人がいるが、彼のサッカー好きは並大抵ではない。一度自慢げにポロシャツを見せられたのだが、「これは僕ら地元チームのユニフォームだよ」と胸をはっていた。オランダへの留学にまで持ってくるのだからよっぽどのファンなのだろうが、彼は特別熱狂的というわけではないようだ。そういう雰囲気が国中にうずまいているということだろう。
そして彼は言った。「僕ら、男の子が生まれると、みんなサッカーボールを贈るんだよ。僕ももらった最初のプレゼントは、サッカーボールだった」ワールドカップで戦うということは、こういった文化と向き合っていくことなのかもしれない。
明後日、日本は決勝進出をかけてブラジルと戦う。悔いのない試合をして欲しいと思う。
| 固定リンク
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/24183/10618491
この記事へのトラックバック一覧です: 蹴球:

コメント
こんにちは
オランダは優勝候補の一角ですもんね(*^^)v
甲子園と同じで、自分が何らかの形でご縁があった県(国)を、ついつい応援してしまいますよね。
オランダはスキポール空港を乗り継ぎで2回利用させてもらっただけですが、Kakoさんのご縁で「オランダが優勝するといいな」と思っています。あと、何となくポルトガルもいいかなあ^_^;
いずれにしろ、国民の心が一つになって熱中できるものがある、というのは良いことですね。
投稿 poohpapa | 2006/06/21 13:27
poohpapaさんこんばんは。
そうですね、やはり所縁があると応援したくなります。特に娘はなんだか一生懸命にオランダを応援しています。あのナショナルカラーに郷愁を感じているらしいです(オランダは至る所にあの色があふれてますから)。
まあ、国をあげて熱く応援するのもいいですが、何でも成田は厳戒態勢をとる予定なのだとか。予選敗退で選手が帰国する際、不穏な事態を避けるためだそうです。こういう応援の仕方は嫌ですね。
投稿 Kako | 2006/06/21 22:18
「■球」と言えば、籠球、排球、庭球、・・あ、卓球というのは結構ありですが一番はやっぱり野球でしょうか。高校球児と言えば、花園よりも国立よりも甲子園がメジャーですしね。
「蹴球」中国は「足球」footballがルールで揉めてサッカーとラグビーに別れたそうで、footballと言えば何を指すのかは国によって違うようですね。アメリカではもちろんアメフトのことだったりするそうです。オランダ語ではサッカーを示す言葉は何と言うのでしょう?高校の部活動の部の名前はなぜか日本語だったなぁとタイトルを見て思い出しました。
投稿 惑 | 2006/06/22 00:57
惑さん、おはようございます。
オランダ語ですか。うーん。実はほとんど分からないのです。オランダはどこでもほとんど英語が通じるものですから・・。
タイトルを和風名にしたのは(他国ではなく)日本にとってのサッカーという意味合いと、あと、これは他の記事の時にも気にかけているのですが、旬の言葉をなるべく使わないようにしているからなんです。
私の記事は回想風のエッセーが多いので、検索でたどり着いて頂いても有効な情報が提供できないのではないかと。そのものずばりについて書いたときや、意見を書く時には気にしませんけど。
それはさておき、今朝の試合は残念でした。まだ詳細は把握してませんが、選手たちにはお疲れ様と言いたいです。いや、ホントはこれらを反省材料にハッパをかけるのが、真のサポーターなんですかね?
投稿 Kako | 2006/06/23 08:16