冬の嵐
明け方、強い風の音で目を覚ました。激しくたたき付ける雨にちょっとたじろぎ、慌てて夫と二人、家の周りのものを中に入れた。そのせいかその後しばらく目がさえて眠れず、ごうごうと台風のような音をベッドの中で聞いていた。何度も寝返りを打ちながら、私は「まるでオランダの冬みたいだ」と思ったのだった。
オランダの冬はとにかく天気が悪い。しょっちゅう台風並みの低気圧が発生しては嵐がやって来る。強い雨と風が大きな窓にふきつけ、時に雨は雹にもなる。ばらばらと窓にあたる音は怖いぐらいだ。空は厚くたれこめた雲が覆っていて、それでなくても弱い太陽の光をしっかり遮ってしまう。こんな日は太陽がいつ昇っていつ沈んだか分からない。もしかして、本当は太陽なんて出ていないんじゃないかと疑いたくなる。
そして、決して台風一過のような天気にはならない。少し雲が薄くなったかと期待しても、また間髪入れずに嵐がやって来る。下手するとひと月ぐらい太陽の姿が拝めないのだ。日本でも太平洋側に住んでいた人は、この天気の悪さにまず参ってしまう。いや、慣れているオランダ人も太陽にあたらずにいてうれしい人がいるわけがなく、冬は皆不機嫌。そして、北欧の人たちの自殺者の数は、この冬に集中するのである。
ただ、12月に入る頃から街は華やぐ。クリスマスのイルミネーションに彩られるのだ。スーパーなどの広場にもみの木が置かれ始めると、皆の顔も生き生きし出す。
私はクリスチャンではないので宗教上の詳しいことは勉強不足で分からない。でも、オランダにいる頃、「イエス・キリストの誕生日は本当に12月25日なんだろうか」とちょっと疑問に思っていた。日照時間がもっとも短くなる時にこんな華やいだ行事があるなんて、出来すぎのような気がする。
世界の天気予報を見ていたら、オランダ周辺に分厚い雲がかかっているのが分かった。おそらく、今日も強い雨が降っているのだろう。それでも、街や家々がイルミネーションで飾られ、子供達も大人もクリスマスがくるのを指折り数えて待っているのに違いないと思うと、日本人とのクリスマスへの思いの違いを感じずにはいられないのだった。
追記
オランダのクリスマスの様子は以前にオランダ暮らしの雑記帳の「それぞれのクリスマス」の中に書かせて頂きました。もし、ご興味のある方はどうぞ。
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