主役と脇役
オリンピックにおける日本勢のメダルラッシュで、寝不足の人が続出しているらしい。素晴らしい結果が出ると興奮するというだけでなく、悲喜こもごもの中に何かしらドラマを観るからなのだろう。
勝った人、負けた人・・カメラはその表情を克明に捉える。でも、私はそれ以上に、沢山の出場できなかった人たちのことを考えた。
柔道の谷亮子選手は、いつもの練習パートナー3人を伴ってアテネ入りしたという。3人だって本来は自分自身のために柔道していただろう。だが、結果として金メダル獲得へのサポーターになっている。胸中に何があるのかは、私には容易に想像がつかない。
が、もし、私がそういう役割を担ったとしたら、うちの父親が激怒するんだろうなあと思う。とにかく、うちの父親ときたら、脇役が大嫌いなんである。
私がまだ小さい頃、父親に絶対になってはいけないと言われたものは「運動部のマネージャー」だった。男子部員のユニフォームを洗濯したり、合宿の料理を作ったり・・まるでそれは女房のやることだというのである。応援のチアリーダーもちゃらちゃらしてるから駄目(すみません、私が言っているわけではありません)。果ては、もし部員になったとしてもレギュラーになれないぐらいなら辞めろとまで言う。運動神経のいい父親にとってみれば、活躍できないなら、そのスポーツをやる意味がないということらしい。
だが、私はどんなスポーツをやってもどうしようもなく下手だ。小学一年生の時に徒競走でビリになった私を見た父親は、「もう運動会なんて見にいかん!」と怒っていたが、人間、得手不得手というのはあるものなのだ。父親の考えが正しいなら、私は何一つスポーツをしてはいけないことになる。
この考えはいつの間にか妹にも受け継がれていた。妹は私と違ってスポーツ万能。走ったらクラスのリレーの選手どころか学校代表に選ばれたりする。同じ母親から産まれているのによくこれだけの差ができたものだ。が、彼女、今はまるっきり何のスポーツもしない。バブル期に学生時代を過ごしたというのに、王道のテニスやスキーには目もくれなかった。理由を聞くと「今から始めたら、わたしより先にやり始めた人に出遅れる。一番になれないのなら、やらない方がまし」というのである。まったくもって不適な考えである。
百歩譲って、それと同じくらいの負けん気がなければ世界の強豪に勝てるようになどならないのかもしれないが、メダルを手にした彼らはたいてい「支えてくれた皆のおかげ」と口にする。やはり感謝の気持ちをもてるぐらいでなければ、本当の意味で強くなれないのではないだろうか。
私は今でも父や妹の考えは間違っていると思う。影で支える人がいてこそ、輝く人がいるのである。本来、そのどちらにも優劣などないのだと信じたい。
オリンピックはまだまだ競技が残っている。実際にコートやグランドで戦う人はもちろん、彼らをサポートしている人皆に、エールを贈りたい。
お詫び:
谷選手の練習パートナーは3人ではなく、5人とのこと。調査不足で申し訳ありませんでした。
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コメント
こんにちは^^)
スポーツには運動能力の優劣があり、勝負の世界なので勝った、負けたがあるよね。
でも、結局自分を誰かと比べるという行為が続く限りは、お父さんや妹さんのように「自分が誰かより劣っていると自覚するくらいならやらない」っていう考えになるんだと思うよ。
きっとヤワラちゃんの練習パートナーをやってくれてる3人は、そういう考え方でスポーツをやってないんじゃないかな。
みんなメダルを取った人は、「自分の柔道をする」「自分の泳ぎが出来るように」っていう言い方をするよね。
究極はやはり自分との戦いなんだろうなあってそんな発言を耳にするたび思いました。
オリンピックを見ているだけでも、いろんな事を考えさせられるね。
投稿 こねこ | 2004/08/24 09:04
こねこ さま
コメントどうもありがとうございます。
結局父や妹の中には「好きだから、やる」っていう考え方が欠落しているのでしょうね。可哀想だと思ってしまいます。勝ち負けにこだわって、楽しむことが出来ないわけですから。
学校の体育の授業も、「生涯スポーツの楽しみ方」なんていう視点でもやってくれたらいいのに。テニスのラリー(ここポイント)を楽しむとか、ボーリングでみんな盛り上がるとか。苦しむばかりがスポーツじゃないと思うんですが、やはり青少年に努力することの大切さを学ばせるのは、大切なんでしょうかね?
投稿 Kako | 2004/08/24 23:29
Kakoさん、ごぶさたしてます。
黙ってトラックバックしたにもかかわらず、
コメントくださってありがとうございました。
オリンピックって、「超人たちの世界」かと
子供の頃からずっと思っておりましたが、
最近いろんなものを見聞きすると、
オリンピックというのは、
人類の英知と努力と連携の賜物の展覧会だと
思えてくるようになりました。
こういう脇役のことはどんどん表に出して
賞賛すべきだと思います。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
毎日、じゃないですけど、
Kakoさんのblog、
ちょいちょい読ませてもらってます。
どんどん投稿されているし、
いっぱい書いてあるし、
興味深いお話が多くて......、
いいなぁ、と思ってます。
今後とも末永く読ませてください。
よろしくお願い申し上げます。
投稿 De Bijenkorf | 2004/08/29 15:57
De bijenkorfさん、わざわざこちらにコメントありがとうございます。
今はまだblogを初めて2ヶ月ちょっとで、あれも書こうこれも書こうと書き殴っているところです。推敲が足りなくて文章が荒れており、お恥ずかしい限りですが、少しでも楽しんでいただければこんなうれしいことはありません。
どうぞ今後もよろしくお願いいたします。
投稿 Kako | 2004/08/30 00:54